【育児ウツ】絶望からの生還~妻の愛、子の笑顔~#04

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39歳で妊活をはじめ3年の不妊治療の末、子どもを授かった。42歳でパパになれたのだ。それは奇跡の子だった。なんてかわいい男の子、世界は一変し、俺は育児に没頭した。

子育てコラムを連載するなど、いっぱしの子煩悩パパとして知られるようになった。

それが3歳半を過ぎたころ、再び世界は一変した。子どもをかわいいとまったく感じなくなってしまったのだ。むしろ憎い。キャッキャと笑う声さえ不快で、耳をふさいだ。俺は突然、育児ウツになってしまったのだ。

▼育児ウツの原因

原因はわかっている。

当時寝る間もないほど仕事に忙殺され、しかもその仕事がまったく上手くいっていなかった。くわえて僕は結婚以来13年間、すべての家事を担当する兼業主夫でもある。

だから仕事に殺されかけながらも、家事はすべてこなした。プラス育児。子どもの笑顔に癒されたいところだが、3歳児くんは強烈なイヤイヤ期の真っただ中。

一緒に遊んでもすぐに機嫌が悪くなり、理不尽に怒り出す。成長過程のひとつとはいえ、当時の俺にそれを受け止めるキャパはなかった。

仕事・家事・育児。これを人を「ワンオペ」と呼ぶのだろうが、当時の自分にそんな被害者意識はなく、むしろ「全部やらなきゃ」「全部こなして当たり前」と、自分を厳しく律した。

 

▼押し寄せる自己嫌悪

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自分を追い込むほどに育児ウツは俺を蝕み、ある日、当然、俺を壊した。

 

「テメエとなんて遊ばねえよ!」

「俺、お前が嫌い!」

 

3歳の息子に、こう吐き捨てる日々。頭をはたく、こずく、胸ぐらをつかんで全身を揺らす。妻の後ろに隠れて怯える息子。家のなかの空気は地獄。

とにかく、妻と息子が憎い。という感情のあとに押し寄せる自己嫌悪。

詰んだ、終わった、家族終了~~! 

結婚して13年、子どもが生まれて3年、何かを壊すなんて一瞬だ。家族壊すにゃ刃物は要らぬ、育児ウツだけあればいいーー。その晩、俺は妻に手紙を書いた。

 

▼妻への手紙

しばらく子育てをやめます。

今のままだと誰も幸せになれないので、やめます。

日々のイライラが止まらず、たぶんウツの一歩手前です。

なので、いったん、家のこと、子どものこと、全部やめます。

たぶん、ぼくはもう売れないと思います。仕事がまったく上手くいきません。

そのことが心をどんどん潰していきます。もう耐えられないところまできています。

そのうえ、家のこと、子どものこと、できません。

なので、いったん逃げます。やめます。逃げます。

ごめんね。戻ってこれるかわからないけど、さようなら。

(原文ママ)

妻へ送った手紙の一部

翌日から、朝夕の保育園の送り迎え、子どもとのお風呂、夕飯後の遊び、掃除、洗濯、炊事と一切の家事・育児をやめた。

その次の日、妻から返信があった。

おはよう。

いろいろ教えてくれてありがとう。

私はいつも通り待っています。

いつも通り、ずーっと待っています。

またお手紙書くね。

すべての家事・育児を押し付けられるかたちになったのに、妻は「教えてくれてありがとう」と言ってくれた。

あんなに息子を傷つけた俺に対して、「父親失格」の烙印を押すのではなく、心配してくれていたのだ。驚いた。

そして朝、子どもを保育園に送ることもやめた俺に、こう言った。「ゆっくり休んでね」。

自分は会社に行く前に慌ただしく保育園に連れて行かなければいけないのに、それを拒否し、ただただ寝ている俺に「ゆっくり休んでね」と。

彼女は俺を怒ってない、否定してない、ただ心配してくれている。これには相当助けられた。

 

▼本当に欲しいもの

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そして「全部やめます」宣言をしたら、肩の荷がふあっと降りたというか、心がずいぶんと軽くなったのだ。

紙に自分の気持ちを書き妻に伝えただけで、すべての手かせ足かせが取れ、一気に自由になれた気がした。

それもこれも「全部やめます」宣言しても、「わかりました」とやさしく受け入れてくれた妻がいてくれたからだった。

それまでは、どこか義務感で家事・育児すべてをひとりでやろうと思っていたのだ。義務感や意地だけで子どもと接していたって、そんなのは楽しいはずがない。

そして1週間ほどすべての家事・育児から解放され自由を満喫していたら、今度は「子どもと遊びたい」という思いが心の底から沸々と湧き上がってきたのだ。

すべてを捨てたからこそ、本当に欲しいものがわかったのだ。仕事ではない、自由に子育てする権利を手に入れたというか、単純にーーおれ、あいつが好き。かわいい。

 

子どもがかわいい。愛おしい。数ヶ月ぶりに、俺はこの感情を取り戻した。

 

「全部やめます」宣言してから数週間、やつれ果てた顔がまともな表情に戻ったからなのか、久しぶりに俺の部屋に入ってきた息子は、少し照れながらこう言った。

 

「ぱぱ、あそぼう」

 

「……いいよ」

 

「やったね! パパ遊んでくれるって!」

 

この渦中においてもずっと笑顔だった妻は、それ以上の笑顔で息子にそう言った。息子は「やったあ! やったあ!」とジャンプして喜んでいる。胸ぐらをつかまれ全身を揺すられ、「嫌い」と全否定されても、パパを待ってくれていたんだ。

 

「……ぶってごめんね」

「いいよお。ぱぱ、あそぼう」

 

 

すべての“育児ウツ”のパパやママへ。

辛かったら、捨てたほうがいい。放棄するべきだ。本当にあなたが壊れる前に、愛する子どもの笑顔を取り戻そう。

完璧な親になんて、ならなくていい。あなたが笑顔でいるだけで、それは子どもにとってかけがえのないパパ、ママなのだから。

 

【画像】
※  Banana Oil、TZIDO SUN、 Soloviova Liudmyla / Shutterstock

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