【育児ウツ】気づけば、わが息子が憎らしくなっていた #02

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いつから、こうなってしまったのか。

わが子をまったく「かわいいと感じなく」なってしまった。3年の不妊治療を経てまで得た、奇跡の子なのに。

四十二にして、この俺を親にしてくれた“天使”なのに。

懸命に慈しみ、大げさにいえば俺のすべてを捧げて育て上げたのに。

そんな息子が3歳を過ぎたある日、突然かわいいと思えなくなったのだ。何なら、うっとうしい。視界にすら入れたくない。騒ぐな。黙れ。言うこと聞け。こう思うようになった。

育児ウツ連載2回目は“わが子への憎しみが生まれる”。

▼育児へのストレス…原因はわかっていた

原因は、うっすらわかっている。当時、僕は仕事がとても忙しかった。比喩ではなく、寝る間も惜しんで仕事をしていた。しかもそれが、まったく上手くいかない。

努力の方向を間違えているのか、その仕事自体に需要がないのか。

それを直視する余裕もなく、結果の出ない仕事なのに、それに一日の大半を捧げざるをえない日々が続いた。

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当然、イライラする日々が始まった。

こんなもの大半のパパがそうなのだが、くわえて僕は家事のほとんど、まあまあな量の育児を担当していた。

妻はフルタイムで働く会社員ながら、もちろん家事だって育児だって“お願い”すればやってくれる。

でも変にマジメな俺は、それを頼むことを良しとしなかった。全部、仕事も家事も育児も、すべてやってやると意気込んでしまった。

 

▼意地でやっていた「ワンオペ育児」

四十五のオッサンである俺が、世のワンオペママのような状態になってしまったのだ。

しかし全部自分でこなしてやると意気込んだって、そんなものはただの意地だ。意地でやったって、遅かれ早かれ破たんする。事実、すぐに壊れた。

週末も、午前中から子どもを連れだして外で遊ぶ。これも日課であり、僕のいわゆる“仕事”だった。

狙いは、フルタイムで働く妻を土日くらいはゆっくりさせてあげたい、という理由からだ。

しかし仕事に忙殺されていた当時の僕は、本音を言えば土日だって仕事がしたかった。それくらい時間がなかった。

「本当は仕事がしたいのに!」という思いを押し殺して、午前中からガキと遊ぶ。楽しいはずがなかった。

 

▼イヤイヤ期真っ盛りの息子と空回りする日々…

くわえてその頃の息子は、遅れてきたイヤイヤ期真っ盛り。まず週末の朝、「パパとお外に遊びに行こう」と誘っても、「イヤー」から始まる。

だいぶイラつきながらも外に連れ出し遊ぶも、今度は無限に続く彼の“マイルール”に付き合わされることになる。

「かけっこしよ!」と言うので付き合うと、「そっちはダメ!」と右側に走ったことで息子に怒られる。

ボール投げでも、ちょっとでも彼より遠くに投げると、3歳児は全身を使って怒り出す。

今でこそイヤイヤ期、第一次成長期などと呼ばれるが、その昔は「疳の虫(かんのむし)」と呼ばれていたその現象は、容赦なく俺の“疳(かん)”をジクジクと攻撃した。

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それでも堪え何とか感情をコントロールし、一緒に遊ぶ。そしてラーメン屋でメシを食わせ、午後2時くらいに帰宅。

記述は端折るが、帰宅に至るまで何十回イヤイヤされたか。それでも、何とか耐えた。これからガキは昼寝だし、妻も休めただろう。

「俺頑張った」と安堵し、玄関のドアを開けようとした瞬間だった。

 

「ボクが開けたかったのに!!」と息子が烈火のごとく怒りだしたのだ。

重要な書類を苦労して作り上げたのに、その瞬間PCがフリーズしたが如く。すべてが台無しになったような一瞬の虚しさは、次の瞬間、怒りに変わっていた。

 

「テメエのせいで、何もかもが台無しだよ!」

「俺の時間、返せ、コラ!」

 

そう玄関先で怒鳴ると、手にしていた息子のチャリヘルメットを投げつけていた。

このように息子のイヤイヤに付き合い、最終的にはこちらの我慢が効かなくなり怒りを爆発させる、という日々が続いた。

すべてが上手くいかない。仕事も子育ても。やればやるほど、頑張れば頑張るほど、すべてが空回りする。

 

▼気づけば、わが息子が「憎らしい」

何かを捨てればいいだけだったのに。育児を妻にお願いすればいいだけだったのに。当時の僕には、人に頼る、もしくは俯瞰から見る、そんな余裕すらなかったのだ。

全部やってやる。全部やってやる。全部上手くいかない。全部上手くいかない。

気づけば、息子が憎らしくなってきた。

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言うこと聞かないコイツが悪いんだ。憑りつかれたようになった俺は、怒りに任せて息子をはたくようになった。

その瞬間、ハッと我に返る。そして息子を殴った手が、心が、こんなにも痛く苦しくなるのかと気づく。そして自己嫌悪に陥り、自室でどんよりとこもる。

突然に怒鳴り、暴れ、ときには暴力をふるう。こんなことが許されるはずがない。こんな親になりたかったわけじゃないのに。反省と自己嫌悪だけが頭を支配するだけで、どうしていいかがわからなかった。

妻だって、こんな俺を忌み嫌っているに違いない。息子の教育にもいいわけがない。そうだ、俺だけいなきゃいいんだ。そうか、そうか。なんでそんな簡単なことに気づかなかったのか、少し笑ってしまう。

いつも笑顔でやさしい妻、生真面目でやさしく、イタズラが大好きな3歳の息子。このふたりだけなら幸せになれるじゃないか。そうそう、要らないのは俺だけ。ピンポンピンポン、大正解!

 

やおら自室から出て、リビングにいるふたりにこう怒鳴った。

 

「もうふたりだけで生きてってくれよ! 俺が邪魔なのは、わかってんだからよ!」

 

物凄い音で自室のドアをバタン!と閉めると、身を丸めてソファにうずくまった。

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気持ちはもう泥のようになり「消えて失くなりたい」と、願った。

もう妻と子どもの顔も見たくない。はしゃぐ声も聞きたくない。それまで3人で川の字で寝ていたのだが、布団を自室に敷き、その日以来ひとりで寝るようになった。

 

俺は家庭を捨て、親であることをやめた。

 

【画像】
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