「乳児揺さぶり死」事件…母親だけが悪いの?

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先日、母親による「乳児揺さぶり死事件」が報道されました。詳細は以下の通り。(※1)

埼玉県新座市で昨年8月、生後約2カ月の次男に揺さぶる暴行を加えて死亡させたとして、傷害致死の罪に問われた、母親で当時19歳だった女の裁判員裁判の判決公判が1日、さいたま地裁で開かれ、高山光明裁判長は懲役3年、保護観察付き執行猶予5年(求刑・懲役4年)を言い渡した。
(中略)
母親は午前4時ごろに起きて夫の弁当を2食分作り、午後7時ごろに夫が帰宅する前に夕食を準備。掃除、洗濯に加え、乳児2人の世話を一人でこなしていた。両親とは疎遠な関係で、夫の父は子どもを預かってくれることがあったものの、体調が悪いため頼りきれなかったとした。夫とはけんかが多く、一方的に強く言われていたという。
当日は長男の1歳半検診があり夕方に帰宅。雨でぬれた洗濯物の処理と夕食の準備に追われる中で次男が泣き出し、「焦り、疲れがあった。何をしても泣き止まずいらいらしてやってしまった」と泣いて認めた。

事件当時母親は19歳。

生後1歳半と2ヶ月の2児を育児中で、両親とは疎遠な関係で、夫とはケンカが多く育児はほとんど1人でこなしていたと伝えられています。

今日は助産師の筆者が、このニュースとその背景を知り感じたことについてお伝えします。

▼この事件の背景は?「母親だけ」が悪いの?

この事件はまだ2ヶ月の赤ちゃんが亡くなった悲しい事件です。幼い命を奪ってしまった母親のしたことは当然許されないと思います。

けれど、この“母親だけ”が悪いのでしょうか?

生後2ヶ月ということは、ママは産後2ヶ月です。産後2ヶ月はまだ体がつらい時期で、以下のような症状が現れる時期です。

・腰が痛い
・頭が痛い
・目がしょぼしょぼする
・おっぱいの張りや痛みを感じる
・ホルモンの関係で、涙が出たりイライラする
 
ましてや、1歳半はまだよちよち歩きの頃でトイレももちろんひとりでは行けません。

ご飯を作ってもぐちゃぐちゃにこぼすことや、大声で突然泣き出すのが日常です。

1歳半を寝かしてホッとしたら、赤ちゃんが「びえ~っ」と泣き出す。赤ちゃんが寝ついたら、1歳半の子がいたずらを始める。

かんしゃくを起こして、2人が同時にのけぞって泣くこともあるでしょう……。

 

▼「声にならない叫び」は誰にも届かなかったのかも…

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こんな生活を連日24時間ずっと、たったひとりで、サポートなしで愛情をもって笑顔で育児できる女性は、はたして何人いるのでしょうか……?

ましてや、ママはまだ19歳。

きっと、産後2ヶ月のからだで必死に2人を連れて1歳半健診に出かけ、心身が限界だったのだと思います。

そんな状況で夕食の準備も段取り通りに進まず、想定外の雨で洗濯物を取り込む。そして泣き止むことのない2ヶ月の子が目の前に……。

「いいかげんにして!」「これ以上は無理!」

そんな思いで、つい、発作的に、からだを揺さぶってしまったのではないでしょうか。

「なんでわたしだけ!」

「こんなにがんばっているのに!」

「泣きたいのはわたしだ!」

そんな、声にならない叫びがあったのではないだろうかと筆者は思います。

逮捕されるのは母親だけ。父親は無罪。でも悪いのは、“母親だけ”なのでしょうか?

この母親が冷静でなくなったとき、「部屋から出る」選択肢もあったはずです。でも、それをしなかった。

パニックになって、赤ちゃんをぶんぶん揺さぶっていてもこの部屋の中にいた。これは何を意味するのでしょう?

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▼似たような事件はまた起こる?

この事件を「鬼のような母親が起こした特殊な事件」ととらえたら、似たようなことはまた起きてしまうのではないでしょうか。

つわりを乗り越え、胎動を感じ、出産を迎え「すぐに殺そう」と思う女性はいないと思います。

「幸せになりたい」「大切にしたい」

そう思って出産を乗り越え、わずか2ヶ月。ここまで追い詰められるには、どんな生活をしていたのでしょう。

この事件は、決して個人的な事件ではないと筆者は思います。

夫からも、地域からも、親族からもサポートを受けずに育児している人はほかにもいます。 

“いのちを生み出した女性を大事にする”意識を社会全体でもち、社会全体で産後をサポートする方法を考えていかないと、似たような事件はまた起きてしまうでしょう。

 

このニュースを見て、「ひどいよな~」ではなく、「オレがしっかり守らなくては」と考えるパパが増えてほしい。

そして、パパでなくとも「気になることがあったら声をかけよう」と関心を持つ人が増えてほしい。

加害者と同世代の娘のいる筆者はそう願っています。

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【参考・画像】
※ <乳児揺さぶり死>有罪の母、亡き我が子に涙 親と疎遠、夫とけんか…家事、育児を背負い誰にも相談できず – Yahoo!
※ antoniodiaz、 Antonio Guillem / Shutterstock

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