【医学博士が解説】自覚症状がない子どもも!? 中耳炎の種類・症状・注意点

出典:https://www.shutterstock.com

「中耳炎」という病気を聞いたことがあるママは少なくないかと思います。中耳炎は大きく分けて「急性中耳炎」と「滲出性(しんしゅつせい)中耳炎」の2つがあります。一般的に急性中耳炎が完全に治りきらなかった場合に、続発して引き起こされるのが滲出性中耳炎となります(※1)。

耳の構造をみると、三部位に分かれています。一般的にいわゆる耳と言われるものや、耳の穴と言われる“外耳”、その奥に続く鼓膜(こまく)、鼓室(こしつ)、耳管(じかん:喉へ続く部分)がある“中耳”、振動を音として変換したり平衡覚を保っている“内耳”の3つです。このうち、中耳に炎症が引き起こされてしまうようなものを中耳炎と言います。

では、それぞれの典型的な症状や原因について、少し詳しく見ていきましょう。

急性中耳炎と滲出性中耳炎の違いって?

急性中耳炎の症状

急性中耳炎が起こると痛みとともに鼓膜が赤く腫れてしまいます。炎症を起こしているということから何かしらの細菌に感染してしまうことで引き起こされることが多いです(※2)。

一般的には溶血性レンサ球菌、肺炎球菌、ブドウ球菌といった菌が多くを占めます。前述したように喉と中耳の一部である耳管は繋がっているので、風邪を引いた時などに菌が耳管に入り込み鼓室で炎症を引き起こしてしまうことがあります(※3,※4)。

滲出性中耳炎の症状

滲出性中耳炎は突然なるわけではなく、一般的に急性中耳炎の続発として引き起こされることが多く認められます。急性中耳炎の時に炎症反応が起こり、その時に滲出液が出てきます(※1)。

本来であれば急性中耳炎が治ると同時に排泄されるのですが、そのまま残ってしまうようなものを滲出性中耳炎と言います。しかし場合によっては急性中耳炎が無くとも鼻炎やアデノイド肥大によって耳管の機能が障害されてしまっても引き起こされることがあります(※1)。

急性中耳炎とは少々異なり、耳の痛みを訴えることはあまりありませんが、しばしば話しかけても反応がない(聞こえていない)難聴や耳の閉塞感や圧迫感を覚えることがあります(※5)。

中耳炎の診断方法、治療方法は?

急性中耳炎と滲出性中耳炎とでは診断方法、治療方法が異なります。

急性中耳炎の診断・治療方法

お医者さんが耳の中を観察し、まず鼓膜の腫れがないかを確認します。

そこで急性中耳炎と診断され、痛みを伴っている場合には鎮痛薬(アセトアミノフェンなど)を用いて、さらに感染であるということを考えると場合によっては抗菌薬の投与を行います(※5)。

あまりにも痛みが激しく日常生活に支障をきたした時や鼓膜の腫れが大きいときには外科的な治療も視野に入れます

滲出性中耳炎の診断・治療方法

同じくお医者さんが耳の中を観察し、中耳内の滲出液が溜まっていないかどうかを確認します。また、聴力検査を行って難聴が出てきてしまっていないかどうかも同時に確認することが多いようです。

もちろん乳幼児の場合には音の確認がしにくいので、そのような場合には中耳に滲出液が溜まっていないかどうかを確認するための“ティンパノメトリー検査”を行うことがあります。これは鼓膜の動きを調べるような検査です。これらによって診断されると抗菌薬の投与や、アレルギー性鼻炎がある場合にはアレルギーのお薬を用います。また滲出液を排泄するために耳管通気や鼓膜の切開など外科的な治療を行うこともあります(※5)。

 

どちらにしても、いつまでも放置しておくことは今後の聴力などにも影響が出てきてしまう可能性が否定できません。早めの処置が必要です。風邪を引いたあとに耳の痛みや聞こえづらさを訴えた場合、また耳に違和感がある場合は早急に耳鼻科へ受診するようにしましょう

まだ子どもが幼く、自身ではなかなか訴えることが出来ないような場合、任意であっても定期的な聴力検査(出産直後や三歳児検診など)で常に気を配っておく必要性があると考えられます

特に乳児の場合であれば不機嫌な状態が続いた場合、何かしらの不調を訴えている可能性があるので、常日頃から母子手帳をチェックしておくようにした方が良いと考えられます。

※本サイトにおける医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、医師より適切な診断と治療を受けてください。

【参考・画像】

※1 中耳炎(滲出性) – MSDマニュアルプロフェッショナル版

※2 坂本穆彦他(2010)『≪系統看護学講座 専門基礎分野≫疾病のなりたちと回復の促進[1] 病理学・耳の疾患・中耳炎』p302,医学書院

※3坂井建雄・河原克雅(2012)『カラー図解 人体の正常構造と機能 全10巻縮刷版 神経系(2) 聴覚と平衡覚<改訂第2版>』p718,日本医事新報社

※4急性中耳炎 – MSDマニュアル家庭版

※5林正健二・山内豊明(2008)『ナーシンググラフィカEX(2)疾病と治療 中耳炎』p337-339,メディカ出版

※ BonNontawat / Shutterstock

【関連記事】

※ 【医学博士が解説】「子どもの花粉症」は中耳炎に繋がるのか?

※ 【医学博士に聞いた】「子どもの耳の鼓膜が破れた時」どうしたらいい?

※ 基本情報まるわかり♪赤ちゃんの月齢別ガイドが超便利!

※ 多忙ママに嬉しい!1本で「化粧水」「乳液」「美容液」「パック」までこなすスキンケアとは[PR]

126人のママに聞いた!95%がYESと回答した産後の髪の悩みとは!? [PR]

※ 思いっきり子どもと外で遊んだ日のスペシャル肌ケアはどうする?

※  ゲランからフレッシュで爽やかなフレグランス新登場

【著者略歴】

川上 智史・・・北里大学大学院医療系研究科医学専攻博士課程修了、医学博士。予防医学を専門とし、医学的に美と健康に主眼を置き研究を続ける。各種教育機関や講演会において予防の重要性を啓発している。

LINEで送る