【保育園への訴訟から考える】子どもの騒音はどこまで許される?

出典:https://www.shutterstock.com

2016年から17年にかけて、神戸市東灘区にある私立保育園の子どもの声がうるさいとして訴訟になったケースがありました。

このケースでは地裁において損害賠償などの請求は棄却されましたが、子どもの声だからといって基準が緩和されるわけではなく、我慢すべき限度を超えて騒音といえる場合には損害賠償請求などが認められ得ることを示唆する判決内容であったことも併せて話題となっています。

このような子どもの声の大きさをめぐる問題は保育園に限らずご近所同士でも生じ得ますので、今回はよくある子どもの騒音トラブルとトラブル防止法について解説したいと思います。

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損害賠償を求められる騒音の基準は意外に低い!?

とくに集合住宅における一般家庭での子どもの騒音トラブルのなかでは、

⑴子どもの大声や泣き声

⑵子どもが飛び跳ねるなどして階下に音が響く

⑶子どもがおもちゃなどで遊ぶときに発生する音や声

に関する相談が多いといえます。

お子さんは言うことを聞かないのが仕事のようなものですし、子どもの声がうるさいと思う大人も昔は泣きわめいたり大声を出して暴れたりしていたこともありますから、多少は我慢すべきだとはいえます。

しかし、昼夜問わず子どもが発する大きな音に悩まされても我慢すべきかというと、それも違うでしょう。よって現在では、客観的な騒音に関する基準をベースとして、社会生活上我慢すべき限度を超えて違法といえるかどうかで判断されており、 幼稚園児が毎晩走り回ったり椅子から飛び降りたりする音に苦慮していた階下の住人からの損害賠償請求を認めた裁判例もあります

社会生活上我慢すべき限度を超えるか否かは、上記のように客観的な騒音に関する基準をベースとしますので、環境省が公開している昼間(午前6時~午後10時)は55デシベル以下、夜間(午後10時~翌日の午前6時)が45デシベル以下という基準以上の音であると損害賠償義務を負う可能性が高くなります

騒音の値は発生源からの距離によって異なるため、正確な数値は騒音測定器に寄らなければなりませんが、55デシベルは隣のテーブルにおける普通の声色での会話、45デシベルはファンヒーターの運転音程度の音量です。

子どもの騒音トラブルを避けるために、常日頃からご近所づきあいを

上記の基準値からすると、昼間でも夜でも子どもがちょっと騒いでいたら限度を越えてしまうと思います。

そこで、まずは防音対策として室内に防音マットやラグを敷いたり、夜間は音の出るおもちゃなどはしまって遊ばせないようにしたりなど、ちょっとした工夫をすると良いでしょう。昼間にお子さんをしっかり外で運動させて、夜は早く寝かせるというのも一つの手ですね。

また法律や裁判例は「ご近所同士の生活音はお互い様の精神で解決しましょう」という考えを基礎としているため、冒頭で触れた訴訟でも「騒音の違法性について社会生活上我慢すべき限度か否か」という基準で判断しています。

このように、お互い様ということを大事にし、近所や階下の人と顔を合わせたときに「子どもが騒いでしまってすみません」「声や音はうるさくないですか?」と一言あるだけでもトラブルや訴訟リスクが低下するといえましょう。

みなさんが物理的・心理的な努力を少しずつ行うだけで子どもの騒音トラブルは回避できると思いますので、心がけてみてはいかがでしょうか。

 

【参考・画像】

※ 保育園騒音訴訟:「受忍限度超えず」請求棄却 神戸地裁 – 毎日新聞

※ 540963997 / Shutterstock

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【著者略歴】

木川 雅博・・・星野法律事務所(港区西新橋)パートナー弁護士。損害賠償・慰謝料請求、不動産の法律問題、子どもの事故、離婚・男女間のトラブル、墓地・お寺のトラブルその他、法人・個人を問わず様々な事件を扱っています。

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