男にもあった!「42歳夫がリアルなマタニティブルーに…」その理由とは!?<連載第9回>

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3年に及ぶ不妊治療、2度の流産の末にやっと子宝を授かったアラフォー夫婦。自身の妊活奮闘記を綴った『俺たち妊活部』の著者・村橋ゴローが経験した“男なのにマタニティブルーにかかった”、その真相についてお伝えします。

 

男にもある「産みの苦しみ」って?

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通常、つわりのピークは妊娠4ヵ月目とされているが、妻の場合、5ヶ月目を過ぎても軽くなるどころかますます重くなっていた。それは「急に泣きたくなった」「どうしようもなく気だるい」といった症状に姿を変え、妻を襲った。

妻は日々変化する心と体に必死に対応しようとしているのだが、それに追いつかず、ただ毎日ポロポロと涙する日が多くなっていった。その溜まったストレスを妻が吐き出す先は、当然、僕となる。

吐き出して彼女がラクになれるのなら、僕は喜んでタン壺・肥溜めになる覚悟はあった。苦しんでいるのは妻で、男にはそんなことしかできないのだから。

妻は日々「辛い」「苦しい」と、いろんなボールを投げてきては、僕はそれらを必死に受け止めた。その思いを少しでも後ろに逸らせば「なんで受け止めてくれないのよ」ときつく言われ、また返球が少しでも強ければ「そんなに強く言わなくたっていいじゃない」となじられる。だから、必死だった。

妊婦の本当の辛さなど、当然僕にはわからない。その「わからない」ものに対応してくのが、こんなにも大変なのか。僕は、産みの苦しみは、男にもあることを知った。

 

男なのに、マタニティブルーにかかった理由

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結婚以来9年間、ほとんどの家事は僕が担当している。炊事・掃除・洗濯、妻に強制されたことは一度もない。ただ家事をやるととても喜んでくれるのが嬉しくて、以来それらを僕は日課とした。

そのため妻が妊婦になってからは、特に炊事には力を入れた。妊婦によいとされる葉酸多めの献立を毎日考え、ごぼうだってささがいた。すべては妻に「凄いね、嬉しい」と、誉めてもらいたい一心で。

しかし妻はつわりのピ-クで食欲はゼロ。毎食毎食大量に排出される残飯を見ると虚しさがこみ上げ、とてもタッパーに移し替える気力も湧かず、そのままゴミ箱に捨てていた。毎食大量に捨てる生ゴミ、それは当時の僕の虚しさを象徴していた。

日々の妻のストレスを受け止め、作った食事は食べてもくれない。次第に僕のストレスも蓄積されていったのだった。そしてそれを発散しようと週末に妻を外出に誘っても、妻はつわりで一歩も動けない。

僕らは仲がよすぎた。いつどこに行くのでも、一緒だった。だからいざひとりにされた僕は、行くあてなどどこにもなかった。

平日は心身が不安定な妻とがっつり向き合い、週末はそれを発散する場もなく、目的地もなくただ自転車を数時間こぎ街を徘徊するだけの週末が続いた。気がつくと僕は、完全なマタニティブルーにかかっていたのだった。

 

身重の妻を支える「夫の役目」とは?

それからの数日は、ふたりの間にあまり会話もなく、どこかギスギスした空気がふたりを包んでいた。そんな、ある日。日替わりで食の好みが変化していた彼女のその日のオーダーは、卵だった。ネットで、卵サンドが評判のパン屋を近所で見つけたと、彼女ははしゃいでいた。

いつもなら「買ってきてやるよ」と自転車を走らせるところだが、僕はひとつの提案をした。

「ねえ、そのパン屋までデートしない? 卵パンデート」

恥ずかしさを隠すため、少しおどけて言った。すると、

「デート!? 嬉しいー! ちょっとお化粧するー」

ここ数日のどんよりとした空気がウソのように晴れ、妻は重い体を嬉しそうに起こし、化粧台に向かった。

「危ないから」と手をつなぎ、駅前にあるというパン屋まで、ふたり歩く。いつもなら15分で着くところが、妊婦のペースだと倍以上の時間をかかった。

途中、歩道のベンチに腰をかけ休むと、「暑い」と笑いながら、妻は汗をぬぐう。それを見た瞬間、胸が締めつけられた。

彼女はいま、母親にならんと必死に闘っているのだ。それを僕は「支えている」だの「受け止める」だの、何をそんなに偉そうに言っていたのだろう。もちろんそれらは必要なことだけど、彼女が真に欲していたものは、ただこうして手をつないで一緒に歩くことだ、そんな大切なことをいま思い出した。

その晩、僕は彼女をマンション下まで“ゴミ出しデート”に誘った。もちろん、手をつないだままに。

大変な時期にある身重の妻を支えるのに、マニュアルなんてありません。愛する人の心に寄り添うことができれば、そのすべての答えが返ってくるでしょう。

次回はいよいよ最終回、「聞いてないよ!!出産騒動記」をお送りします。

 

【参考・画像】

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※ 村橋ゴロー(2016)『俺たち妊活部』(主婦の友社)

※ Paul Rich Studio, Ysbrand Cosijn, tommaso79 / Shutterstock

【著者略歴】

※ 村橋ゴロー・・・72年、東京都出身。大学生のときライターデビュー。以降、男性誌から女性誌、学年誌など幅広い分野で活躍。千原ジュニア、田村淳、タカアンドトシ、次長課長、高橋克典など多くの芸人、俳優陣の連載構成を手掛ける。3年に及ぶ、自身の不妊治療奮闘記をまとめた著作『俺たち妊活部』(主婦の友社刊)が好評を博す。また主な構成/著作に、『すなわち、便所は宇宙である』シリーズ(千原ジュニア著・扶桑社刊)、累計200万部突破した『GO!GO!バカ画像シリーズ』、『裏モテの秘策』(ともにKKベストセラーズ刊)などがある。結婚以来11年間、炊事・洗濯・掃除をこなす兼業主夫でもある。

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(2016年5月31日の記事を再掲載しています)

 

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