深夜に起きた突然の破水…!「41歳高齢初産」その奇跡の結末とは?<連載最終回>

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3年に及ぶ不妊治療、2度の流産。自身の不妊治療奮闘記を綴った『俺たち妊活部』の著者・村橋ゴローが、最終回となる“奇跡の出産とその騒動記”をお伝えします。

 

深夜に起きた、突然の破水!

夜中の12時から始めた、日課である晩酌をしながらの名づけも、午前2時を過ぎると今日もきょうとて酩酊し名前も結局決まらず、これまたいつものようにYouTube散策に切り替えた。

「遂に来週か……」

出産予定日を1週間後に控えた8月17日未明、スチャダラパーのライブ動画をぼんやりと眺めていた、そのときだった。寝室からリビングにやって来た妻は、眠い目をこすりながら、トイレに。

1分ほど経ちリビングに戻ってきた妻は、そのまま寝室に向かうでもなく僕の前に立った。

「ん? どした?」

「ハスイしたんだけど」

「ん? ハスイ?」

突然のことと酔っているのが重なり、その言葉が上手く漢字変換できずにいた。

「えっ!? ハ、破水!?」

「そう、破水よ」

「な、なんで? だって予定日は来週じゃ……」

「なんでかなんて、アタシにもわかんないわよ! とにかく、そういうこと! 病院に行くわよ!」

 

立ち会い出産をするかどうか、決めていなかった…!

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登録しておいた陣痛タクシーを手配すると、5分ほどで家に到着。乗り込み、産院へ。

流れる車窓を眺めていると、ビルや信号が二重三重に見える。やばい、完全に酔っぱらっている。

大事な出産だというときにこれでは、自分が立派な父親になれるとは到底思えない。というかまだ、立ち会い出産するかどうかも決めていない。

できれば、そんなもの見たくない。怖い怖い怖い。

病院に着く前からパニックにかられた僕は、「景気づけにハイボールでも飲みたいんだけど、コンビニ寄っていい?」と妻に訴えたかったが、必死に口をつぐんだ。

午前4時、産院に到着。午前5時、本格的な陣痛が始まった。いきむ妻の手を握り、応援するしか僕にできることはない。

「りえ、頑張れ!」

妻の顔近くに寄り、必死に励ます。

「りえ、頑張れ!頑張れ!」

妻は目をかっと見開き、こう叫んだ。

「酒臭いっっっ!!!」

 

3年に及ぶ不妊治療の末、奇跡の子を出産した妻へ

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男には想像もつかない痛みと格闘し、顔を歪ませること6時間、遂に妻の子宮口が10cmまで開いた。妻は陣痛室から分娩室に移動となった。

「さ、お父さんも!」

「へっ!?」

看護師の、さも当然といった言葉に思い出す。

「いや別にまだ、立ち会い出産に同意したわけじゃないんですけど!」

心の中で叫ぶが、「さあ、さあ」と、まるでバンジージャンプを躊躇する客に焦れた係員のように、看護師が僕の背中をドンと押した。

意を決し分娩室になだれ込むと、すでに妻がいきんでいる姿が目に飛び込んだ。

6時間もの陣痛で、すでに体力も使い果たしているだろう。それでも155cmの小さな体に残された、最後の数滴。その数滴の体力を振り絞り、彼女は戦っていた。母親にならんと必死に。

居酒屋で「本格的に不妊治療に挑戦しよう」という僕の提案に涙し、喜んでくれた妻。

あれから3年、奇跡の子を宿した彼女は、その集大成を迎えようとしていた。気がつけば僕は目を真っ赤に腫らしながら、妻の手を握りしめ、絶叫していた。

「りえ!頑張れ!」

「もう最後だ!!負けるな!!」

「頑張れ!!頑張れ!!!」

出産まで、何分かかるのか、何時間かかるのか。皆目見当もつかないなか、必死に声をかけた。すると、その瞬間は突然訪れた。

おぎゃー

おぎゃー

おぎゃー

分娩室に入って、まだ15分。グラダンだって、できるまで20分はかかるわ!

「元気な男の子ですよー!」

看護師さんの声が部屋にこだまする。こうしてグラ太が誕生した。

「よく頑張ったね、ありがとう、ありがとう」

僕は溢れる涙もぬぐわずに、こう言った。するとりえはつないだ手をやさしく握り直し、とても穏やかな笑みを僕にくれた。

人生を賭けて挑んだ不妊治療、どんな悲しい波に襲われても、妻はいつも笑顔だった。辛いのは彼女自身なのに、僕に愛を与え続けてくれた。ありがとう、りえちゃん。

心にラブ、口元にスマイル。これさえ忘れなければ、どんなことだって乗り越えられる。

それを3年の不妊治療と、そしてりえの姿から、僕は学んだ。

 

【参考・画像】

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※ 村橋ゴロー(2016)『俺たち妊活部』(主婦の友社)

※ Kati Molin、Valeriya Anufriyeva、Monkey Business Images/ Shutterstock

【著者略歴】

※ 村橋ゴロー・・・72年、東京都出身。大学生のときライターデビュー。以降、男性誌から女性誌、学年誌など幅広い分野で活躍。千原ジュニア、田村淳、タカアンドトシ、次長課長、高橋克典など多くの芸人、俳優陣の連載構成を手掛ける。3年に及ぶ、自身の不妊治療奮闘記をまとめた著作『俺たち妊活部』(主婦の友社刊)が好評を博す。また主な構成/著作に、『すなわち、便所は宇宙である』シリーズ(千原ジュニア著・扶桑社刊)、累計200万部突破した『GO!GO!バカ画像シリーズ』、『裏モテの秘策』(ともにKKベストセラーズ刊)などがある。結婚以来11年間、炊事・洗濯・掃除をこなす兼業主夫でもある。

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(2016年5月27日の記事を再掲載しています)

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