障害がある子なら堕胎する…?高齢出産で「出生前検査」を受ける厳しい現実<連載第7回>

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アラフォー39歳夫婦が一念発起し、妊活。3年に及ぶ治療、そして2度の流産を経て、遂に妊娠……! しかし、幸せの絶頂に降って湧いたのが、“出生前検査”という試練だった。

自身の妊活経験を記した『俺たち妊活部「パパになりたい!」男たち101人の本音』の著者・村橋ゴローが、夫婦に訪れたこれまで以上に難しい決断についてお伝えします。

 

「染色体異常児」を調べる出生前検査

3年間に及ぶ不妊治療、2度の流産、そして4度目の体外受精ののち、我ら夫婦は遂にわが子を授かった。念願の子宝に恵まれ、世界は一変した。世界は一変したが、それはすべての苦悩から解放されたものではなく、新たな世界での苦悩が始まっただけだった。

不妊治療クリニックから産院へ転院し、迎えた最初の妊婦外来。この日、出生前検査について医師から説明を受けた。

妻は42歳での初産となる。この高齢出産において避けて通れない問題が、染色体異常児の出産率が高くなるということだ。医師の説明によれば、35歳採卵時での染色体異常児の可能性が385分の1。

それが40代に入ると一気にはね上がり、44歳ともなると38分の1となる。42歳の妻の場合だと、50分の1ぐらいでその可能性があるのだ。もしも自分が……、そんな悪い想像に心が支配された。

 

障害を持った子なら、堕ろしてしまうのか?

様々な先天性疾患、ダウン症。それらの子を一生育てることが、果たして自分にできるのか?

しかし僕らの場合は、3年間の不妊治療の末にやっと授かった子なのだ。そんな奇跡とも呼べる子を、じゃあ検査して“アウト”だからといって堕ろせるのか?

エコー写真ですでに7センチまで成長したわが子を殺せるのか? 仮に堕ろしたとしよう。不妊治療クリニックにはまだ、妻が40歳のときに冷凍保存した卵子がひとつある。しかしそれを使用しての胚移植に挑んでも、失敗に終わればまた採卵からの、ゼロからのスタートだ。

そうなった場合、42歳となった妻の卵子は、さらなる老化を遂げているだろう。もう1度妊娠できる保証など、どこにもない。仮に、仮にだよ、もう1回妊娠できたとする。それでまた出生前検査をして、再びアウトの判定が出たら、どうするのか?

そもそも、さっきから“アウトアウト”と言ってるけど、障害を持って生まれた子はアウトなんかじゃない。そんなことは頭ではわかっていても、心が、感情が追いつかない。

ちなみに出生前検査とは、高齢出産である35歳以上の妊婦しか受けることは許されない。つまり、不妊治療でやっと子宝に恵まれた高齢夫婦ほど“わが子の生き殺し”という苦行に直面させられるのだ。

 

42歳、妻の出した結論とは……?

「もし陽性だった場合の結論は、あらかじめご夫婦で決めておいてください」

医師はそう言うと、ペラ11枚にも及ぶ書類を手渡してきた。その書類とは、出生前検査の同意説明書だった。ペラペラとめくっていくと、

「障害の子が産まれたとしても、それは個性のひとつでしかありません。また、そのような障害をもつことと家族の幸不幸は、本質的に関連がないといわれています」

という文言が目に入ってきた。

「んなこと、わかってるよ……。わかっちゃいるけど、覚悟がつかねえんだよ……」

どんよりとした感情は、やがて澱となり、心の底に沈んでいった。

自室を出てリビングに向かうと、先に同意説明書を読み終えた妻がお腹をさすりながら何やら話しかけている姿を、目の端に捉えた。すると妻は、目線はお腹を向いたまま、しかし今度は僕に向かって話しかけてきた。

「アタシ、何があっても産むね……」

その穏やかな表情と、やさしい口調ながら揺るぎのない宣言。それを見聞きした、瞬間だった。彼女の覚悟に、心の底を強烈にビンタされたような錯覚を覚えた僕は、先ほどまでの不安は不思議と消え、こうつぶやいた。

「うん、そうだよね。ありがとう」

父親になる決意、どんな子であれ受け入れる覚悟。男性はこういう時いつだって無力なのかもしれない。しかし女性は強い。

僕自身、妻から勇気をもらい、一歩ずつ成長“させてもらっている”ことに感謝した。

 

【画像】

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【著者略歴】

村橋ゴロー・・・72年、東京都出身。大学生のときライターデビュー。以降、男性誌から女性誌、学年誌など幅広い分野で活躍。千原ジュニア、田村淳、タカアンドトシ、次長課長、高橋克典など多くの芸人、俳優陣の連載構成を手掛ける。3年に及ぶ、自身の不妊治療奮闘記をまとめた著作『俺たち妊活部』(主婦の友社刊)が好評を博す。また主な構成/著作に、『すなわち、便所は宇宙である』シリーズ(千原ジュニア著・扶桑社刊)、累計200万部突破した『GO!GO!バカ画像シリーズ』、『裏モテの秘策』(ともにKKベストセラーズ刊)などがある。結婚以来11年間、炊事・洗濯・掃除をこなす兼業主夫でもある。

【参考・画像】

book

※ 村橋ゴロー(2016)『俺たち妊活部』(主婦の友社)

※ jankamenar.com、Stokkete、Hiroshi Ichikawa、Art_Photo / Shutterstock

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(2016年5月6日の記事を再掲載しています)

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