遅すぎた不妊治療、繰り返す流産…夫婦が忘れてはいけないことは?<連載第4回>

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結婚7年目、夫婦が互いに39歳になる歳から始めた、遅すぎた不妊治療。卵子の老化に歯止めがきかない四十路となった妻の不妊治療は予想以上に辛いものとなった。

連載第4回目の今日は、3年間にも及ぶ不妊治療の末に、やっと子どもを授かった『俺たち妊活部―「パパになりたい! 」男たち101人の本音』の筆者・村橋ゴローが、自身の妊活エピソードを元に“流産を繰り返した妻とそんな妻に対して夫が行とった行動”についてお話します。

 

■流産した妻の「悲しい謝罪」

不妊治療を開始し1年が経ったころ、私達夫婦は体外治療に挑んだ。

妻はフルタイムで働く、役職つきの会社員。当時大きなプロジェクトに参加し、連日帰宅は22時過ぎと多忙を極めていた。そんななかスケジュールをやりくりしながら、やっとの思いでのクリニック通い。しかし結果は、“流産”という悲しいものに終わった。

その日の夜、いつものように晩御飯の支度をしていると、「ただいまー」と玄関から妻の声が聞こえた。僕はキッチンから「お帰りー」。しかし妻は、一向にリビングのほうにやってこない。

心配した僕は玄関まで出てみると、妻は靴も脱がずに玄関に突っ立ったままだ。うつむいたままなので表情を探ろうと彼女を見ると、涙を流しているのがわかった。

「ごめんね………」

胸が張り裂けそうになった僕は妻を抱きしめ、背中にまわした手で“トントン”し、体を左右にゆっくりゆっくり揺らした。

「ごめんなさい、ごめんなさい……」

「きみは何にも悪くない。僕は、きみが笑顔でいてくれたら、ただそれだけでいい」

いつの間にか、僕も泣いていた。

「そんなふうにやさしく言ってくれるあなたの子どもが授かれないなんて……」

そう言うと今度は感情のフタが取れたかのように、妻は嗚咽をあげて悲しみや悔しさを一気に吐き出したのだった。僕はかける言葉もなく、ただただ一緒に泣いた。

 

■「幸せそうな親子の姿なんか、見たくない!」

妻は体外受精を3度経験し、2度流産、そして1度は妊娠反応なしに終わった。ただ「子どもが欲しい」と願う彼女に、なぜそのような罰がくだされるのか。そしてそんなとき、男はあまりにも無力だ。

妊娠反応なしという結果に終わったある週末、僕は妻に「公園に行こう」と誘った。その公園には大きな池があり、ボートに乗れる。天気もいいし、ボートを一生懸命こいだら気分も少し晴れるだろう。そんな思いから提案したのだった。

しかし妻は、布団から出る気配を見せず、焦れた僕は「ねえ早く起きてよ!早くしないと陽が落ちちゃうよ!」と声を荒げた。すると、普段怒鳴ることなどしない妻がこちらをにらみつけ、こう叫んだのだった。

「ボートなんか乗りたくない!公園に行ったら小さな子どもばっかりじゃん!幸せそうな親子連れとか……そんなのアタシ、見たくない!」

そう言うと再び布団のなかに入り、小さな声でこう言った。

「ひとりで行ってきて」

僕は寂しく、その公園に向かって自転車を走らせた。

 

■辛い治療をやり抜くために夫が忘れてはいけないこと

「よかれと思って提案したことが彼女を傷つけてしまったんだ……」と先ほどのやり取りを後悔した。公園にはやはり、ボート遊びにはしゃぐたくさんの親子連れがおり、その姿は、僕の瞳に収めるにはとても心苦しいほど光り輝いていた。

公園からの帰り道、花屋に寄り、妻が好きな黄色の花が目に入り買った。少し緊張しながら家のドアを開けて「ただいまー」と言うと、僕の声に反応し、リビングからパタパタパタ……という軽やかなスリッパの音が聞こえた。

「おかえりー」とやってきた妻は、数時間で心を落ち着かせたのか、いつもの笑顔を携えていた。「うわ、黄色い花だー。買ってきてくれたの?ありがとう」。こちらこそ、ありがとう。と心の中でつぶやいた。

見当違いなやさしさしか投げることしかできなかった僕に、それでも「ありがとう」と言ってくれた妻。寛容と感謝、この両輪がなければ厳しい治療をやり抜くことはできない。

 

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【著者略歴】

村橋ゴロー・・・72年、東京都出身。大学生のときライターデビュー。以降、男性誌から女性誌、学年誌など幅広い分野で活躍。千原ジュニア、田村淳、タカアンドトシ、次長課長、高橋克典など多くの芸人、俳優陣の連載構成を手掛ける。3年に及ぶ、自身の不妊治療奮闘記をまとめた著作『俺たち妊活部』(主婦の友社刊)が好評を博す。また主な構成/著作に、『すなわち、便所は宇宙である』シリーズ(千原ジュニア著・扶桑社刊)、累計200万部突破した『GO!GO!バカ画像シリーズ』、『裏モテの秘策』(ともにKKベストセラーズ刊)などがある。結婚以来11年間、炊事・洗濯・掃除をこなす兼業主夫でもある。

【参考】

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※ 村橋ゴロ‐(2016)『俺たち妊活部』(主婦の友社)

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