妊娠中のお酒って本当にダメなの?妊婦のタブーを女性経済学者が徹底検証

妊娠中のお酒って本当にダメなの?妊婦のタブーを女性経済学者が徹底検証

妊娠中って、食べちゃいけないものや、しちゃいけないことがいろいろありますよね。コーヒーはダメ、お酒もダメ、タバコは絶対ダメ、などなど。

経済学者のエミリー・オスターさんは、自身が妊娠したとき、そんな「常識」がどんなデータに基づくものなのか疑問を持ちました。

仕事柄学術的なデータを見慣れているオスターさんは、そんな妊婦の「常識」の元となった医学論文のデータまでさかのぼって検証し、その結果を『Expecting Better』(意訳:より良い妊娠生活)という書籍にまとめました。

『Expecting Better』を筆者も読んでみたところ、そこには意外な発見が詰まっていたので、以下にご紹介していきます。

 

■コーヒーもワインも「ほどほどならOK」、でもタバコは?

まずコーヒーについては一般にも「1日1~2杯ならOK」と言われています。が、『Expecting Better』によると、「3~4杯」まではほとんどの研究結果において問題なしとされていることがわかりました。

またアルコール類は完全に断ってしまう人が多いですが、『Expecting Better』では「妊娠前期では1日1~2杯、妊娠中期・後期では1日1杯までなら問題ない」としています。

オスターさん自身、妊娠中期以降も週3~4回、グラス半分のワインを飲んでいたそうです。

ただしこちらも「(1回に4~5杯など)飲み過ぎると悪影響がある」としているので、あくまで少量なら可、ということのようです。

また、この書籍のレビューでは特に「1日1~2杯」も多すぎるのではないかという批判が強いので、実際妊娠している人は主治医とも相談の上判断した方が安全でしょう。

一方、”ほどほど”ではなく絶対に危険とされているのはタバコです。これは「常識」と完全に一致していますね。

 

■食べ物やヘアカラー、飛行機は?

食べ物に関しても、妊娠中NGと言われるものがいろいろあり、特に米国では生魚、生肉、生卵など、生もの系の制限が強調されています。

でも『Expecting Better』では、「ダメ」な理由によって、本当に避けるべきものとそうでないものをきちんと分けています。

まず本当に避けるべきなのは、トキソプラズマ症を起こす危険のある生やレアの肉類、貝類、よく洗っていない生野菜や果物です。

妊娠中にトキソプラズマ症に感染すると、胎児にも感染の危険があり、その結果流産や赤ちゃんの障がいにつながることがあります。

一方、同じ生ものでもお寿司などの生魚で懸念されるのはサルモネラ菌や大腸菌、カンピロバクターです。

万一これらに感染しても、普通に下痢や腹痛になるだけで(それもイヤですが)胎児への影響はないので、妊娠を理由に避ける必要はありません。

他に、妊娠中にヘアカラーを避ける人もいますが、『Expecting Better』では問題ないとしています。

たしかに動物実験で、ヘアカラーの成分を体に直接注射した場合は胎児に悪影響が出ているのですが、注射と皮膚への接触ではレベルが全然違うということです。

飛行機も臨月近くなると医師の同意書が必要になる場合が多いので、それ以前にも乗っていいのかどうか心配になります。

でも、臨月近くに乗れない理由はおそらくフライト中にお産が始まったら困るからなので、胎児への影響はないとオスターさんは書いています。

胎児への影響という意味で強いて気にすべき点を挙げれば、フライトによる放射線への被ばくがあります。が、乗客として乗る程度なら問題になるほどの被ばく量にならないそうです。

 

■意外とNGなものも:熱いお風呂にガーデニング

『Expecting Better』には、日本ではあまり知られていない妊娠中のリスクも書かれています。

たとえば日本では毎日お風呂に浸かるのが当然で、むしろ健康法のひとつでもあります。が、オスターさんは妊娠初期に華氏105度(摂氏約40.5度)以上のお湯に長時間浸かるのは危険だと指摘しています。

というのは、妊娠初期に胎児の体温が高くなりすぎると、脊椎破裂や無脳症になるリスクが高まるからです。なので、熱いお風呂に限らず、ホットヨガやサウナなども避けた方が良さそうです。

さらに、これまた健康的なイメージのあるガーデニングにも危険があります。上にも書いたトキソプラズマ感染はネコのフンを媒介として起こることが多いためです。

これを回避するには、ガーデニングのときは手袋やマスクをして、終わった後は手をきちんと洗いましょう。

ネコのフンというと、ネコを飼っている人は気になるかもしれません。が、検証の結果ネコを飼っている人にトキソプラズマ感染のリスクが高いという傾向は見られませんでした。

これは、ネコが一度トキソプラズマ症に感染すると免疫ができ、人間に伝染させなくなるためだと考えられています。

 

……と、いろいろと目からウロコの『Expecting Better』ですが、反論もあります。特にアルコールに関してはリスクを軽視しすぎだという声が強く、「少しなら大丈夫」と言われても不安は残ります。

でも、「あれはダメ、これはダメ」という情報に振り回されるのではなく、”何が、どれくらい、なぜダメなのか”について徹底的に情報を集めて根本から検証されたのは素晴らしいです。

全てにおいてここまでアカデミックに調べるのは難しいかもしれませんが、何事も鵜呑みにしない姿勢はぜひ見習っていきたいです。

 

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【参考】

Expecting Better:Why the Conventional Pregnancy Wisdom Is Wrong and What You Really Need to Know

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